残業100時間の月、時給は1,200円だった
月収38万円で残業100時間。計算してみたら時給1,200円。ブラック企業の実態を自分の給与明細で証明した記録
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2026/4/1
28歳、IT系の中小企業で働いていたときの話だ。
月の残業時間が100時間を超えた月があった。繁忙期だ。納期が重なった。プロジェクトが炎上した。いろいろ理由はあった。でも結果は同じだ。朝9時に出社して、終電で帰る。土曜も出社する。日曜は寝ている。これを3ヶ月続けた。
その月の給与明細を見た。基本給22万円、残業手当8万円、各種手当て8万円。月収は約38万円。悪くない数字に見える。
でも私は計算した。月の労働時間は約280時間(所定労働160時間+残業100時間+残業20時間未満のサービス残業)。38万円 ÷ 280時間 = 時給1,357円。
もっと正確に計算しよう。手取りで見る。社会保険と税金を引くと手取りは約29万円。290,000 ÷ 280 = 時給1,035円。
コンビニのバイトより安い。
この計算をした瞬間、何かが切れた。「仕事を頑張れば給料が上がる」と信じていた自分が馬鹿に思えた。頑張れば頑張るほど、時給は下がっていく。残業手当は基本給の1.25倍だが、100時間も残業すると健康も人間関係も崩壊する。そのコストは計算に出ない。
この記事は、残業の本当の時給を計算する方法と、私がどうやって脱出したかの記録だ。
使い方
本当の時給を計算する
基本給22万円、みなし残業30時間込みの契約だった。つまり30時間までは残業手当が出ない。30時間を超えた分について、基本給の1.25%×時間で計算される。
基本給:220,000円
所定労働時間:160時間/月
基本時給:220,000 ÷ 160 = 1,375円
残業単価(25%増):1,375 × 1.25 = 1,718円
残業100時間の月:
みなし残業30時間分:手当なし(基本給に含まれる)
超過分70時間:1,718円 × 70 = 120,260円
あれ?給与明細の残業手当は80,000円だった。計算が合わない。
会社に聞いた。「みなし残業は45時間分です」。契約書には30時間と書いてあったのに、什么かの理由で45時間に増えていた。そして45時間を超えた分の計算も、基本給ではなく「基本給から住宅手当を引いた額」で計算されていた。つまり残業単価が低く設定されていたのだ。
改めて計算する。
基本給(住宅手当抜き):180,000円
基本時給:180,000 ÷ 160 = 1,125円
残業単価:1,125 × 1.25 = 1,406円
超過分(100-45=55時間):1,406 × 55 = 77,330円
約77,000円。給与明細の80,000円とほぼ一致する。
つまり、残業100時間しても、手当は約80,000円しか出ない。月収は基本給+手当=約38万円。でも労働時間は280時間。手取り29万円で割ると時給1,035円。
これを年間に直すと、残業100時間が月3回、80時間が月6回、40時間が月3回というペースだった。
年間総労働時間:約2,880時間(法定2,000時間の1.44倍)
年収:約480万円(税込み)
年間手取り:約370万円
実質時給:370万 ÷ 2,880 = 1,284円
給与計算ツールで同じ条件を入れてみた。「月給38万円、残業100時間」を入れると、実質時給は1,200〜1,300円の範囲に収まる。自分の計算と一致した。
サービス残業も忘れてはいけない。タイムカードを切った後に仕事をしている時間。通勤電車でメールを返している時間。休日に頭の中で仕事を考えている時間。これらはすべて無給だ。正直に言うと、実質的な労働時間は300時間を超えていたかもしれない。
プロのヒント
まず自分の本当の時給を計算すること。給与計算ツールに月収と総労働時間を入れる。残業手当の計算方法を確認する。みなし残業の時間と単価を把握する。これを知らないと「給料が高い」と勘違いし続けることになる。
36協定の確認。残業が月45時間、年360時間を超えると違法だ。100時間の残業は明らかに36協定違反の可能性が高い。でも日本の中小企業では「繁忙期だから」と言われて黙認されることが多い。黙認しないこと。
有給休暇を消化すること。日本の有給消化率は約50%だ。20日付与されて10日捨てている。10日 × 日割り給与(約17,500円)= 年間175,000円を捨てていることになる。
転職のときは「残業時間」を必ず確認する。月平均残業時間が20時間以下の職場を探すこと。面接で聞くのは恥ずかしいことではない。20時間を超える職場は、最初から避けるのが賢明だ。
よくある間違い
最大の失敗は「月収が高い=時給が高い」と思い込むことだ。月収38万円は決して低くない。でも280時間働いているなら時給1,357円だ。月40万円でも300時間働いたら時給1,333円。働き方の質を見ずに給与額だけを見ると、自分を安売りしていることに気づかない。
二番目はみなし残業の罠に引っかかること。「月給25万円、みなし残業45時間込み」という求人は、実質「基本給はみなし残業分を差し引いた16万円程度」であることが多い。45時間の残業をしなくても、手当は出ない。残業ゼロの月でも給料は変わらない。みなし残業分を基本給に上乗せして表示しているだけだ。計算すると残業ゼロの時給は1,000円を切る。
三番目は健康のコストを無視すること。残業100時間を3ヶ月続けた結果、私は不整脈になった。病院の費用は自己負担で月5,000円だが、通院の時間コストと不安感は計算できない。体重は5キロ増えた。運動する時間がないからだ。人間関係も崩れた。友人と会う時間がない。彼女との関係も悪化した。これらを「時給」に換算すると、実質的な手取りはもっと低い。
私は転職した。今は月平均残業20時間、月収35万円。前より月収は下がったが、実質時給は1,800円に上がった。そして毎週末は自分の時間だ。人生は長い。時給で生きるべきだ。