残業代が出ない月80時間の残業:実質時給は980円だった
月給28万円で月80時間のサービス残業。実質時給を計算したら980円。深夜のコンビニバイトと同じだった。ブラック企業で働いた俺の3年間の全計算。
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2026/4/1
「残業は自己責任」
入社1年目の4月、上司にそう言われた。俺は新卒で都内の中堅SIerに入った。月給は28万円。手取りは約22万円。悪くないと思ってた。
最初の月は定時で帰れた。2ヶ月目から残業が始まった。最初は月20時間。夏頃には40時間。年末は60時間。2年目の秋には80時間に達した。
月80時間の残業ってどれくらいか。平日に毎日4時間。22時まで会社にいる。週末も片方が出勤。月に4日休めるか休めないか。
で、その残業代が出ない。「みなし残業」ってやつだ。月45時間までの残業は給与に含まれてる、と雇用契約には書いてある。45時間を超えた分は...「申請してください」と言われる。申請しても「承認されません」のオンパレード。「業務効率が悪いから残業になってるんでしょ」「もっと早く終わらせられるはず」。
俺は計算した。月給28万円で月80時間の残業。実質時給いくらか。
その数字を見て、すべてがどうでもよくなった。980円。
深夜のコンビニバイトと同じだ。いや、コンビニは深夜割増で1,200円以上か。俺の方が安い。
この記事は、俺がブラック企業で3年働いて計算した「実質時給」のすべてだ。同じ境遇の人が自分の状況を数字で把握するための参考になればいい。
使い方
実質時給の計算方法
基本の計算はシンプルだ。
月給28万円÷(所定労働時間+残業時間)=実質時給
所定労働時間:週40時間×4.3週=172時間/月
残業時間:80時間/月
合計労働時間:252時間/月
28万円÷252時間=1,111円
これだけでも安い。でももっと正確に計算する。通勤時間も入れよう。
片道1時間15分。往復2時間半。×250日=625時間/年。月に換算すると約52時間。
252+52=304時間
28万円÷304時間=921円
921円。最低賃金(東京都)の1,113円を大きく下回る。
さらに正確に。手取りで計算する。
月給28万円の手取りは約22万円(社会保険・税金・住民税込み)。
22万円÷304時間=724円
724円。中学生のアルバイト以下だ。
正規の残業代が出る場合と比較する。法定労働時間(8時間)を超えた分は25%割増。深夜(22時〜5時)は50%割増。
俺の時間給:28万円÷172時間=1,628円
残業代(通常):1,628×1.25=2,035円/時間
残業代(深夜):1,628×1.50=2,442円/時間
月80時間の残業のうち、約40時間が通常残業、40時間が深夜残業だとする。
40時間×2,035円=81,400円
40時間×2,442円=97,680円
合計残業代:178,880円
これが正しく払われていれば、月収は28万円+17.9万円=45.9万円。手取りで約36万円。
でも実際の手取りは22万円。月14万円、年間168万円を「サービス残業」でタダ働きしてる計算だ。
3年間で504万円。これだけの金を会社に奉仕した。
プロのヒント
まず自分の実質時給を計算しろ。給与計算ツールに月給と労働時間を入れる。残業時間は正直に。通勤時間も含めると本当の数字が出る。俺はこれで「980円」を見て、転職を決めた。
36協定と労使協定を確認しろ。会社が残業を命じるには、这两种の協定が必要だ。労働基準監督署に届出されているはず。俺の会社は「1ヶ月80時間」の届出を出していた。つまり80時間までは「合法的」に残業させられる。でも残業代を払わないのは違法だ。
タイムカードの記録を保存しろ。サービス残業を証明するには、労働時間の記録が必要だ。俺は毎日の出退勤時刻をスマホのメモに残していた。これが後で役に立つ。退職後に未払い残業代を請求する場合、記録がないと証明できない。
労働基準監督署に相談しろ。残業代未払いは労基署の管轄だ。匿名で相談できる。俺は退職後に労基署に行き、未払い残業代の請求手続きをした。結果、約180万円の未払い残業代を会社から受け取った。3年分の504万円には届かないが、ゼロよりマシだ。
転職するなら、給与だけでなく「労働環境」で選べ。月給が20万円でも残業ゼロなら、実質時給は1,163円。俺の「月給28万円で残業80時間」の980円より高い。数字で比較しろ。
よくある間違い
一番の失敗は「月給が高いからいい会社だ」と思い込むこと。月給28万円は悪くない数字だ。でも80時間のタダ働きがあったら、実質時給は最低賃金以下になる。給料の額面だけで判断するな。実質時給で判断しろ。
二番目は「みなし残業」を甘く見ること。月45時間のみなし残業って、月に11日分の残業がすでに含まれてるってことだ。これを超えた分が未払いになる。みなし残業制度がある会社は、入社前に「何時間までみなし残業に含まれるか」を必ず確認しろ。30時間未満ならまだしも、45時間は異常だ。
三番目は「自己申告しなかった自分が悪い」と思うこと。会社は残業代を払う義務がある。申請してないから払わない、は法律違反だ。上司が「申請するな」と言っても、それはパワハラだ。労基署に相談できる。
四番目は体を壊すまで頑張ること。俺は3年目に胃潰瘍になった。ストレスと睡眠不足。体重は10kg減った。月80時間の残業を1年続けると、うつ病のリスクが跳ね上がる。健康を壊したら、どんな給料も意味がない。限界を感じたら、逃げろ。仕事なんていくらでもある。体は一つしかない。